「一夜の逢瀬」と聞けば、どんなことを想像するだろうか。
彦星と織姫のような儚い恋…。
いや違う。ここでは違う。
ここでの「一夜の逢瀬」とは、「逢瀬町の農家さんのお宅で過ごす夜」のことを指す。
農家民泊の良さは何といっても、そこの農家さんとあれこれ語らう夜にあると思う。
私が初めて逢瀬町の農家に泊まったのは2010年の11月。逢瀬町が初めてどころか東北地方へ訪れるのが初めてだったので、寒さに弱い私は冬に差し掛かろうとしている東北の地の夜に身構えていた。
ところが、訪れた菅野さんのお宅は暖かかった。とても暖かかった。それは部屋の中をいかにすれば暖められるかという知恵と工夫が施されているためでもあり、また菅野さんのお人柄によるものでもある。
お酒と手作りのおつまみを口にしながら、菅野さんとの会話が弾む。飼いネコのしまちゃんの話、夏は猪苗代湖で泳いだりボートを漕いだりして遊べるからまたおいでよというお誘い、日常のあれこれ…。夜は更ける。時はあっという間に過ぎてゆく。
一夜にして、「もうひとつの実家」ができた気になってしまう。
さすが「逢瀬」という名がついている町だけあって、こうした心安らぐ農家民宿との出逢いがたくさんある。
私はその家々に訪れる度に「自分は何も知らないなあ」ということに気付かされる。
日本の農業が危ない…後継者が…耕作放棄地が…福島は今…。本やテレビも教えてくれることではある。しかし、ここに来れば何気ない会話の中から、また農家さんの生活や「まなざし」から、リアルな学びに触れることができる。
もちろんそういうことばかりではない。星がきれいな夜であれば、一緒に観察に行き、農家さんのお宅だからこそ飲める「とっておきのお酒」をいただいたり、眠くなれば「おやすみなさい」で寝室へ。
実家ではないのだが、実家であるような程よい心地よさが農家民泊にはあるのだ。
また今年も「もうひとつ の実家」へと帰る予定である。
文京学院大学(2013年卒業) 星野麗音(2010年11月訪問)
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